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進学・進級する前に知っていてほしい科学のはなし第2回

はじめに

前回「科学の定義」についてお話をしました。

今回は予告の通り、「科学であるための条件」についてのお話をします。

科学であるための条件には3つあります。

  1. 客観性
  2. 普遍性
  3. 再現性

です。以下それぞれ詳しく解説します。

客観性

客観性とは「いつだれが見てもそうだと認められる性質」(新明解国語辞典より)のことです。つまり、一人だけが信じている理論は科学的とは言いづらいということです。この「一人が信じている」とは主観性が高いことになります。ここで難しいのは何人の同意を得られると主観性が高い理論から客観性が高い理論になるのかという問題です。そこで重要になるのが後述の普遍性と再現性になります。

普遍性

普遍性とは「狭い(特殊な)範囲にとどまらず、広く一般の理解や共感が得られたり問題とするすべてに適合したりする性質・要素」(新明解国語辞典より)のことです。つまり、地球でだけ成り立つ物理法則の公式よりも、宇宙全体で成り立つ物理法則の公式のほうがより優れている。という考え方です。ここで難しいのはある特殊な条件下で成り立つ理論、つまり普遍性がより高い別の理論が出てきてしまいある意味で劣っているとみなされる理論が決して重要でないわけではないということです。詳しくは後述します。

再現性

「再現性」という言葉は手持ちの辞書には載っていませんでした。その代わり「再現」は載っていて、「視野・聴覚から失われた(ようとするもの)を、なんらかの方法で人前に現出したり復旧したりすること。また、そのように見えること。」(新明解国語辞典より)とありました。つまり、その理論を求めるときに行われた実験を他人がもう一度行うことができるということです。再現性が無いので問題になった事件を皆さんもよく知っていると思います。「STAP細胞」の事件です。実験の手法が書いてある論文の手順通りに他人が実験を行ってもSTAP細胞を作ることができず、「本当にSTAP細胞が存在するのか」と問題になったわけです。客観性で難しいとした問題は再現性が高いことである程度解決することができます。つまり、自分の発見した理論はその時点では発見した人しか知らないため、主観性が高い理論なわけです。それを論文にして発表することで、発見した人と同じ結論にたどりつく人が多くなります。そうしてたくさんの主観が集まることで、客観性が高くなっていきます。

まとめ

以上のように客観性・普遍性・再現性の3つがそろっている理論がより科学的な理論ということができます。これで前回のお話でした「できるだけ」の意味がより理解できたと思います。どんなに普遍性の高いと思われる理論を作っても、より普遍性の高い理論がいつか出てくるかもしれない。さらに、その理論を見つけるときには人間は主観的である。主観が集まることによって客観性が高まるだけであって、完全な客観というものは存在しない。こういう理由で「完全に正しい理論」が存在しないゆえに「できるだけ正しい理論」を追及しているということです。

次回は「科学の手順」についてのお話です。

普遍性について補足

ニュートンの発見した運動方程式(高校物理で習います。)とアインシュタインの発見した特殊相対性理論と一般相対性理論(大学レベルの物理です。)では普遍性という点では運動方程式<特殊相対性理論<一般相対性理論という不等号が成り立ちます。しかし、カッコ書きしたように運動方程式は現在も高校物理で習います。劣っているのにです。これは一般相対性理論が生まれたからと言って「劣った理論」として運動方程式を捨てるには運動方程式はあまりにも優れた理論だからです。物理の専門家でなくても(理系でなくても)理解できる内容で、この宇宙の運動の法則を言い当てた点で運動方程式は非常に優れているのです。科学史的に言うとニュートン以前の自然科学と呼ばれる学問では、地球上と宇宙では全く別の物理法則が働くと信じられていました。つまり地球上(人間の世界)と宇宙(神々の世界)で同じ法則が働くことは信じられていなかったわけです。

しかし、ニュートンの発見した物理公式は地球上だろうが宇宙だろうが関係なく当てはめることができます。つまり、人間の世界と神の世界が同じであることを突き止めたのです。このように、科学史的な功績の点、物理学の導入として非常に優れている点、でニュートンの運動方程式は現代でも教えられ続けていることになります。